米津玄師『YANKEE』を購入。
米津玄師の『YANKEE』をiTunesで購入する。
米津玄師の背景やプロフィールについては詳しくしらないので
割愛する。
最近の私は、流行というものがよくわからない。かつて、私が中学生の頃は音楽と言えばみんなが「ミュージックステーション」を観ていた。オリコンチャートにあるものは、好き嫌いはともかくみんな知っていた。逆に言えば、その中にないものは存在しないと思ってた。早熟だったり音楽好きな人間が一部洋楽を聞いているぐらいだった。親の影響でビートルズとかね。
しかし、高校生ぐらいになると趣味も多様化してくる。さらに大学生の頃になると、音楽は共通の話題にはならなくなった。これはネット環境が普及してきたころだ。この時は宮台真司の言う「島宇宙」という感じで会話が成り立たなくなっていた。(学生の共通の話題として教習所があった。みんな行くからね。私が行ったのは30歳の頃だけど)
何が言いたいかと言えば、私は最近まで彼を知らなかった。ニコニコ動画の「ドーナツホール」の人だと知ったのも最近である。テレビや雑誌には多分出ていないだろう。もしかすると、出ているかもしれないが、私の生活圏内に入ってこない。
しかし、youtubeではかなりの再生数がある。アルバムに収録されている曲をいくつかピックアップすると
米津玄師 MV「MAD HEAD LOVE」 - YouTube
この曲で感動はしない。でも、アップテンポな曲調やサビの部分に
中毒性がある。動画の中でオブジェが激しく動くのも良い。動画からの
イメージもあるけれど、大人の恋愛という感じがする。『しょうがの味は熱い』でも書いたけれど、同棲中のような距離感である。
他の歌にも言えることであるが、この人は「私とあなたの隔絶」を歌うのが上手い。昔はPVと言っていたが、今はMVって言うのか。動画の中で、本の文字やオブジェとして歌詞が現れる。聖堂みたいな部屋とこの本の中の歌詞がとても良い。「恋して楽しい」「愛している」ではないけれど、寄り添って、お互いに重荷を背負って生きようというメッセージがとても心にささる。
私が好きな部分
様々な辛せを砕いて 祈り疲れ
漸くあなたに 会えたのだから
一緒にいこう あの光の方へ
手をつなごう 意味なんか無くたって
この「意味なんか無くたって」という言葉がとても良い。
「呪いにかけられた二人」「呪いが解けるのを」と何度か
呪いという言葉が出てくる。
「二人でいて幸せだね」という気持ちではない。
しかし、「闇を背負いながら 一緒に行こう あの光の方へ」
という希望に満ちた言葉で終わる。余韻が残る。
ハチ MV「ドーナツホール」HACHI / DONUT HOLE - YouTube
ドーナツホールは、youtubeではボーカロイドが歌っている。が、アルバムでは、本人が歌っている。テンポも良い。タイトルにも『穴』があるが、喪失感を歌っている。これは「アデュー」すなわち永遠の別れの歌である。
失恋とも言えるし、死別かもしれない。私には、彷彿とするような具体的な経験はないけれど、「ああ、こんな気持ちがあったなあ」と自分の感情を「発見」できる。
好きな部分はサビはもちろん
環状線は地球儀を 巡り巡って朝日を追うのに
レールの要らない僕らは 望み好んで夜を追うんだな
という部分である。
失ったものに対して思いを馳せる時間が欲しい人はぜひ聞いて下さい。
この他にも『アイネクライネ』や『メランコリーキッチン』『TOXICBOY』『KARMA CITY』など名曲揃いである。
特に『KARMA CITY』は、不思議な歌である。お気に入りの部分は、
生者と死者の 確かな隙間 カーマシティ
君はほら街を外れて 消えていく
というところである。ああ、多分、隙間というかエアポケット、狭間みたいなものに魅かれるんだなと気づく。