伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

8月22日(土)MOOSIC LAB2015に行く(前編)

新宿にあるK’Sシネマという場所で行われたMOOSICLAB2015

というものに行く。

概要はこちら

MOOSIC LAB 2015 | ケイズシネマ

 きっかけは、出演しているMaison book girlというアイドルグループが気になっていたからだ。とはいえ、にわかファンも良いところで、ライブも2回しか見ていない。しかし、音楽というか曲そのものが妙に印象的に残った。

 

 私が観たのは、コンピテーションAで「マイカット」と「劇場版ドミノマスク」の2本である。Maison book girlが出演しているのは、前者の方である。

 

先ずは、「マイカット」の感想から。

 

 アイドルグル―プが映画に出るというから、てっきり学園ものの青春映画なのかと思ったが、そうではない。かなり、シリアスな内容である。

MOOSIC LAB 2015上映作品◎映画『マイカット(仮)』製作プロジェクト - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

www.youtube.com

【概要ときっかけ】

 多重人格の女性が妊娠したことをきっかけに、自己の内面と向き合う、という内容である。

 正直、このストーリーの概要を読んで、あまり興味をひかれなかった。以前、どこかに書いたが、私の中学高校時代は「心の闇」の時代であった。そのため映画や漫画、ドラマ、ゲームなどいたるところで多重人格を扱った作品が

あったからだ。「なぜ今更、多重人格などを扱うのだろう」と疑問であった。

 

 結論から言うと、「多重人格」というのは、テーマの中心ではない。いかに傷ついたのか、という心の闇の真相を追う物ではないからだ。もちろん、多重人格ならではのセリフなどもある。また、「心の家」の描写は『24人のビリーミリガン』を読んでたかどうかで、理解の程度が大きく変わるだろう。だが、単に「自己の葛藤」と敷衍して理解しても良いのかもしれない。いかに傷ついたのか、と過去へ戻るよりも、未来に向けての希望がある。

 

【個人的ベストシーン】

 私が、印象に残ったシーンは、矢川葵がウサギのシグレを撫でるシーンである。このウサギは元々あった4つの人格であり、矢川葵は新しく生まれた4つの人格の一つである。

 とはいえ、私はこのシーンをみてウサギのシグレを「胎児」の象徴だと思った。ウサギが丸まっているところから宿った胎児を連想したのである。ウサギは鳴かない。長い耳すなわち聴覚がある。人間も聴覚は胎内にいる段階から存在している。などのことからである。

 矢川葵が机の上でうずくまっているシグレを慈しむように撫でるシーンは「芽生えた母性」の象徴なのかと思えた。今までの人格の1つである、廣田朋菜がまわりの人格とぶつかるシーンとは対照的である。こうした、葛藤、せめぎあいも胎児であるシグレが「聴いている」のではないか。せめぎ合いを聴き、撫でられる。否定と肯定、相反する感情に新しい命であるシグレは接しているのだろう、と考えさせられた。

 

【その他の感想】

 ちなみに、この作品「アイドルが出演している」という記述はあるが、主役ではない。(みんなが主役?)そのため、アイドルファンでなくとも十分に楽しめる。「新しい命を授かる」ことを考えることが出来る作品でもあるので、女性の方に観てもらいたい。

 もう一つの感想としては、音楽が良かった。音楽は、Maison book girlのプロデューサー兼音楽担当が務めている。 

 

 

24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)

24人のビリー・ミリガン〈上〉 (ダニエル・キイス文庫)

 

 

 

24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)

24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)