伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『考える・まとめる・表現する―アメリカ式「主張の技術」』

考える・まとめる・表現する―アメリカ式「主張の技術」

考える・まとめる・表現する―アメリカ式「主張の技術」

【感想】

 タイトル通りアメリカにおける主張の技術について紹介したものである。私にとってピラミッド型の文章構成などは既知のものであった。しかし、この本の中にある8つの図解の技術は新鮮であり、有意義であった。定義・分類・構成・因果関係を説明するときの表現方法などが紹介されていて非常に面白い。様々な図解のパターンを述べるだけでなく、目的と方法がきちんと解説されているところが本書の優れたところである。

 本書の趣旨は「オバマなどの優れたスピーチをする人間はこうした教育を受け、技術を身につけている」ということである。私自身もそうした考え方に賛成である。優れた創作物(演説なども含む)才能や文化の違いではなく、既にある先人の知恵や技術がを活用できているかどうかである。言わば、型の練習をしているかいないかの違いである。

 本書について、難点を言えば、少し値段が高ことと読みにくいところがあることだ。考える・まとめる・表現すると3つに分けて値段を安くしてくれた方が購買意欲を誘われると思った。読みにくいのは、著者の意図と買う側のミスマッチだろう。著者は日本とアメリカの教育を比較した上でアメリカで行われている実践を紹介しているのである。しかし、タイトルを見て買う側はノウハウ本を期待してしまうのである。なので、アメリカの小学生が書いた図やレポートの例を見てもピンとこないことがある。上記にも述べた通り、本書は非常に優れたところがあるので、ビジネスマンや学生向けにアレンジしたものを出してほしいと思う。