「議論のルール」
- 作者: 福澤一吉
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2010/05/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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【評価】 ★★★
仕事用
【紹介】
本書は、より良い議論のために議論の方法と質疑応答の仕方を述べている。そのために20のルールを説明している。「爆笑問題のニッポンの教養」のやりとりや国会のやりとりを例に挙げて、なぜ不毛な議論になってしまうのか、議論をよりよくするためには何が必要なのかを論じている。
【名言】
「書くように話す」
【感想】
先ず、文章のレイアウトは良いが、目次がわかりにくい。「20のルールにまとめた」とあるのだから、目次にもルールの部分に番号をふり、検索しやすくするべきだろう。
同著者の本を何冊か読んでいたせいか、あまり得るものがなかった。例示される文章(議論のやりとりの部分)が多く、少し冗長な印象を受ける。だが、最後のルールである「自分の質問は実態調査タイプか仮設検証タイプかを知る」の部分は有益だった。
また、テレビの弊害への言及は面白かった。どのような話題でも脊髄反射的にコメントできることが知性だという話である。確かに、テレビ番組において「わからない」や「どういう意味ですか」と質問や意見の意図を捉えなおすことは不可能である。見ているほうが退屈してしまうからだ。そうすると、その場をつくろうことができる人間が、頭の回転が速く見えるのだ。しかし、そこに整合性や合理性、発言を検証することは求められない。
初めて著者の本を読むのであれば、本書は具体的で悪くは無い。しかし、一冊のまとまりを考えるならば、同著者の生活人新書の「論理表現のレッスン」やサイエンスアイ新書の「科学的に説明する技術」の方がまとまっている。