伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

「国語のできるこどもを育てる」

国語のできる子どもを育てる (講談社現代新書)

国語のできる子どもを育てる (講談社現代新書)

【評価】★★★

仕事用


【紹介】

 本書は、書くこと、読むこと、読解力とは何かをテーマに論じられている。書くことは、アウトラインやテーマを用意し、客観的に書かせることの重要性を論じている。読むことは、教科書のような文章の抜粋ではなく、一冊の本や長文を読ませることの大切さを述べている。読解力とは何かでは、国語の設問に正解することは、はたして文章を理解しているといえるのか、を中心に議論している。



【引用】

「塾の読み書きの実態をひとことで言うなら、テスト問題に瞬間的、条件反射的に対処するという至上命題があるために、長い文章を時間をかけて吟味することをさせず、短い文章を短い時間で時間内での確認作業と事務的処理に慣れさせるだけ」

【感想】

 先ず、「タイトルに偽りあり」と言わせてもらう。本書は、受験の「国語」の成績を上げるものではない。文章の読み書きをもっと幅広く捉えている。第3章の「読解力とは何か」で論じられているように、国語の設問に正解することと、文章を読んで理解することには大きな乖離がある。それは私も教えていて強く感じることである。

 また、10年以上も前の本であるが、アドラーの「本を読む本」が紹介されているのは先見性があると思う。

 ちなみに、上記の引用部分はもっともだと思うが、至上命題は誤用である。