「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」
- 作者: 西林克彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/09/20
- メディア: 新書
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【評価】 ★★★
仕事用
【紹介】
本書は文章をわかるとはどういうことかについて説明している。文章や文において関連がつくことを「わかる」こととしている。文章がわからないのは、背景や状況による文脈を把握できないため、何の知識を使うのかというスキーマが発動できない状態であるという。
しかし、これらがあれば正確に読めるかというとそうではない。
「ステレオタイプのスキーマ」が存在し、細部に矛盾などがあっても文章の内容を簡単に都合よく解釈してしまう。これが本書で述べる「わかったつもり」である。
この「わかったつもり」の状態を乗り越えるためには、矛盾や無関連に注目する。つまり「わからない部分」に注意することや「当たり障りの無いきれいごと」に気をつけるなどが必要であると著者は述べる。
【名言】
「善き者の魔力」(p158)
【感想】
本書は、小説などの文章を読むことに主眼を置いているが、むしろ、ニュースや新聞などによる「わかったつもり」を防ぐこと、つまり、メディアリテラシーに活用できるのではないかと思った。
また、尾崎新の著書にもあるようにこうした「わからないこと」からより深く「わかる」ようにする態度は対人関係においても有用だと思った。