伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『「眼力」をつける読書術』

「眼力」をつける読書術

「眼力」をつける読書術

【紹介】

 小論文の塾を主催している著者による読書論である。読むことは情報の受信力を身に付けることに役立つと述べる。過去の情報や知識を蓄積しつつ、状況に応じて即座に組み替える。こうしたことを可能にするのが情報の受信力である。本書はそのための本の選び方からリーディングスキルまでを解いた本である。

【名言】

  「他分野にこそヒントがある」

【感想】

 著者には大学院入試のときにお世話になった。といっても直接師事したわけではなく、本を通じてではあるが。そうしたこともあって、私は著者の読書論が出ると聞いて喜んだものだ。この本のレビューが一番のりであるのもあり難い。

 さて、本書の感想である。この本の扱う範囲は実に幅広い。小論文の講師なので、論文を読む技術は秀逸である。論文の構成、統計の読み方、主張の分析の仕方などは非常にわかりやすい。

 また、この本はそうした論文形式の本だけではなく、小説や随筆の読み方にも触れられている。ビジネス本として出されたこともあるだろうが、ビジネスに役立つような読書案内もある。古典を読めという話に集約するのだが。さらに、子育てや老いなどのライフステージにも対応している。このように、多岐に渡る読書の読み方を展開している。

 一つのことに興味が持続しない私としては「他分野に迂回するという方法」には勇気づけられた。
 また、古典を薦めるだけあって、巻末の読書案内も様々なジャンルが扱ってあり面白い。