伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『虹ヶ原ホログラフ』を読む

 

虹ヶ原 ホログラフ

虹ヶ原 ホログラフ

 

 

面白さや感動があってこの漫画を紹介するのではない。

驚きがあって、紹介するのだ。

何に驚いたか。「壊れた人間」ばかりが登場することにである。

私が、中学生や高校生ぐらいの頃は『心の闇』というフレーズが流行った。

14歳の少年が学校に首を置いた事件やバスジャック事件などが

起こったからである。

 私が高校生の頃に読んだ作品がこれである。

 

 

地雷震 15 (アフタヌーンKC)

地雷震 15 (アフタヌーンKC)

 

 しかし、その頃は、壊れた人間は重大事件を起こした犯人だけであった。

つまり、そうした人間は一人なのである。『虹ヶ原ホログラフ』は違う。

一見まともそうに職業や生活のある人間のほとんどが歪んでいる。

そして、そうした人たちに周囲の人間もどうすることもできない。

 

 この漫画が人気を持つこと、つまり、違和感なく受け入れられることに

私は驚きを覚える。なんらかの共感を持っている、すなわち読者の心象風景が投影されているから人気があるのだろう。しかし、私は「え?こんな風に世の中が見えているのか?」という驚きを持つのだ。