伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『エリック・サティとその時代展』渋谷文化村に行く

エリック・サティとその時代展』を観に行った。

www.bunkamura.co.jp

 

 もちろん、エリック・サティは音楽家であり、画家ではない。なので、サティが活躍した時代の、交流があった人々の絵画展である。

 

 この展覧会の特徴は、一人の画家の作品展ではないことだ。つまり、サティの楽譜集の表紙やバレエのポスターなどが中心の作品展である。画家の魂の叫びのような絵画ではなく、あくまでも商品やバレエなどの作品が中心の絵画である。現代で言えば、CDのジャケットやライブのフライヤー、ポスターなどがそれに該当するのだろう。そのため、気軽に見ることができる。

 

 クラシック、音楽家、という肩書や名称は、堅苦しく感じる。しかし、エリック・サティは 斬新過ぎたようで、あまり売れない不遇の時代が続いたようだ。そのため、キャバレーなどで演奏していた。そのキャバレーのポスターなどがある。世俗的で身近に感じることが出来る。

 

 私が面白いと思った絵画は、芸術家サロンのメンバーが描いた絵画である。黒い大きな男の絵なのだが、教会権力の象徴のようだ。政教分離を主張しているのである。さすが、フランス。ライシテの精神が根付いている。

 

 もう一つ、興味深いところはサティを中心とした人間関係である。サティが生涯で唯一恋した女性の話である。シュザンヌヴァランドンという女性である。展覧会にはなかったが、ルノアールの絵のモデルである。(のちに本人も絵を描く)そして、ユトリロの母親でもある。 

 

 また、バレエのエピソードも面白い。ジャン・コクトーが脚本、ピカソが衣装、サティが音楽に携わったという話である。今から考えると、オールスターのメンツである。このように、様々なつながりがわかる展覧会である。

 コクトーは昔読んだけど、そういうエピソードは完全に抜け落ちていた。

 

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

 

 

アガタ/声 (光文社古典新訳文庫)

アガタ/声 (光文社古典新訳文庫)

 

 

 

 美術館内ではずっとシムノペディが流れているのも良い。作品保持のために冷房が強く効いていることももちろんあるのだが、音楽の効果もあってどこか涼しげに感じる。今日のような日(35℃)にはとても良い。

サティ:ピアノ作品集1

サティ:ピアノ作品集1

 

 

 

サティ:ピアノ作品集(3)

サティ:ピアノ作品集(3)