伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『渇き。』を観た

『渇き。』を観た。

原作は読んでいない。そのため比較はできない。

時系列や視点がころころと入れ替わる映画である。


クラスメイトの男の子の視点と加奈子の父親の視点である。

キャッチコピーは『愛する娘はバケモノでした』というものである。

加奈子は、聡明な優等生の美少女であり、誰からも人気がある。

しかし、その本性は悪魔的である。

その悪魔的な少女を追う物語である。

物語の序盤で失踪した加奈子の部屋を父親が探るシーンがある。

ここでは、いくつかの文学作品が本棚にある。その中に

「ドリアングレイの肖像」が置いてある。ここに加奈子の2面性が

象徴されている。

しかし、キャッチコピーのわりには父親が娘を愛しているように思えない。

良い感じにクズ人間である。ただ、父親が虐待的な行為をしたから「加奈子が

悪魔的になった」というトラウマというか原因のように思うのはミスリード

だろう。

むしろ、父親と同じく「大切なものを壊さずにはいられない」本質を抱えているのだと思う。