伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『累犯障碍者』

累犯障害者 (新潮文庫)

累犯障害者 (新潮文庫)

【引用】

 「そしていま、刑務所の一部が福祉施設の代替施設と化してしまっている」

【感想】

 罪を重ねる障害者について書かれたルポルタージュである。著者自身も獄中で生活した経験があるので、非常にリアリティがある。
本書では、身体や知的など様々な障害を抱えた犯罪者が出てくる。

 しかし、障害そのものが犯罪に結びついたのではない。彼らは、福祉行政や教育、地域社会、家族、司法など様々なサポートから零れ落ちたのである。その結果、彼らは犯罪に走ったのである。

 社会福祉の価値観とは異なる視点から障害者の生活の問題点に触れているので非常に興味深かった。