『差がつく読書』
- 作者: 樋口裕一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/06
- メディア: 新書
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【評価】 ★★★★★
【紹介】
読書を「実読」と「楽読」に分けて論じている。実読は、情報や知識を得るための手段としての読書である。楽読は、楽しみのための読書である。
また、実読の場合は多読と精読を使い分ける必要があると著者は述べる。そして、多読の方法として、アリバイつくり読み、独立読み、裏づけ読み、斜め読みなどの方法が紹介されている。
楽読は、ただひたすら楽しめばよいと著者は述べている。その楽しみを広げるためには、評論を読むことや守備範囲を広げること、文体を楽しむことなど、楽しむ方法が書かれている。
【名言】
「読書は悪徳だ」
【感想】
本書は三部構成になっている。一部は、実読、二部は楽読について、そして、三部は著者が読んできた本について述べられている。
この三部が面白い。著者は、読んだ本について発信する必要があると言っているが、書評の手本にもなる。
この本の良いところは、多読と精読を分けてあることだ。学校教育の中では、主に教科書の文章を精読することが求められる。しかし、大量の文章をザックリとでよいから多読する方法も教えるべきだ。本書は、その方法を用途に応じて述べられているので良い。
他人に読書の技術つまり、大量の情報を処理する方法を教えるならば、この本を推薦したい。
また、楽読に関しての考え方も面白い。「読書は悪徳である」という考え方だ。確かに。文学作品や映画などの複雑な物語は、人間の不条理や暗黒面を描いたものも多い。これは、学校教育、特にヒューマニズムを重んじる国語教育とはそぐわない側面も持っている。そのような世界を味わうのが読書の楽しさなのだ。
そういえば、自分は学校の推薦図書を読むような優等生ではなかったな、ということを思い出した。