伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『知的複眼思考』

【評価】 ★★★★★

【紹介】

 知的複眼思考とは「ありきたりの常識や紋切り型の考え方にとらわれずにものごとを考えていく方法」である。そのために読書の仕方(情報の読み取り方)、作文の作法(考えの表現の仕方)、問の立て方(問題の捉え方)に分けて説明されている。

【感想】

 良書である。文章自体は非常に平易であり、教育問題など誰もが触れるような事柄を扱っているので、とても分かりやすい。この本を中学生か高校生の頃に読んでおけば、と悔やむこともある。それくらいの内容の本である。「クリティカルに考えるとはどういうことか」を教えてくれる本である。と同時に社会科学の考え方そのものでもある。

 しかし、課題も二点ほどある。

 一つは、密度が濃すぎることである。読書の方法なり作文作法なりをもっと展開させて欲しい。でなければ、テーマ別に本を分けて欲しかった。例題を多くして、理解が定着できるようにして欲しかった。

 もう一つは、参考文献の少なさである。上記の課題とも関連するが、次のステップにつながるような読書案内をもう少し豊富にしてほしい。