伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『本を読む本』

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)

【評価】 ★★★★

【紹介】

 読書の技術について述べた本である。著者は本を4つレベルに分けている。初級読書、点検読書、分析読書、シンピトピカル読書の4段階である

 初級読書とは、子どものようにただ読むだけである。点検読書とは、拾い読みや下調べのことである。分析読書とは、ひとつの本を理解することである。最後に、シンピトピカル読書とは、テーマに合わせて複数の本を比較しながら読むことである。

 著者は、分析読書の重要性を指摘している。ある本のテーマ、キーワード、主張とその根拠を理解することである。つまり、何が、どのように述べられているのかを理解することが重要であり、その方法が書かれている。

【感想】

  学校では「本を読みなさい」と言われるがその方法は教えられない。というよりも、読書に方法があること自体知らない人が多いだろう。ただ、漫然と読んで鵜呑みにすることや、理解できないとあきらめてしまうことも多くあるだろう。そのような人にとっては画期的な本である。

 ビジネス本として取り上げられているせいか、非常に有名であり、その評価も高い本である。私は、著者の意見には賛同できるし、書かれている技術も有意義なものだと思う。
 
 だが、翻訳のせいか、元の本が古い(1940年代に書かれた)せいか、読みにくいものがある。せっかくマニュアル的になっているのだからもう少し簡潔な説明でも良いと思う。

 また、現在ではこの本を元にした、似たような本がある。そちらを最初に読んでおく本書の理解が速くなるだろう。それ自体がすでにシントピカル読書なのだが。