伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

「七つの習慣」

とあるところでアルバイトをしていた時に上司から勧められたもの。

7つの習慣-成功には原則があった!

7つの習慣-成功には原則があった!

  • 作者: スティーブン・R.コヴィー,Stephen R. Covey,ジェームススキナー,川西茂
  • 出版社/メーカー: キングベアー出版
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 単行本
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人生を成功させるための七つの習慣を紹介している。
①主体性を発揮する
②目的を持って始める
③重要事項を優先する
④win-winを考える
⑤理解してから理解される
⑥相乗効果を発揮する
⑦刃を研ぐ

①〜③は私的成功をするため、④〜⑦は公的成功をおさめるために必要なものである。本書を通じての主張は人格を研き、
考え方を変える(パラダイムシフト)、七つの原則を日常生活の習慣として取り込むことで成功できるというものである。

感想

 先ず、私の感想は「いかにもアメリカ的だな」と思った。まさに自己啓発の本だからである。と、同時に様々な文化や宗教が
存在するアメリカにおいてベストセラーになるだけあると感じた。特定のイデオロギーの偏らずに道徳的なことを記述していからである。
しかも、動機づけが成功というキーワードなのがなんとも。確かに個人として生きる分には状況を受け入れて前向きに
なる必要もあるだろうが、背景に差別などの社会問題がワンサカある中でそういう部分に目を向けなくてよいのかとツッコミを入れたくなる。




 話は変わるが、私の職場では研修として取り入れられていた。この職場の興味深いところは上司と部下の関係が特殊であることだ。
どう特殊なのか?もちろん、上下の関係ではある。しかし、雇用や権力の関係ではなく、グル(導師)と弟子という関係になっていることだ。
グルの言うことは正しい、素直に受け入れるべきである。その正しさはグルよりも上のグルが担保する、という関係なのである。しかし、人間同士
であるので、相性、好き嫌い、納得のできないことなども生じる。その時に活躍するのが本書である。各々の行動や価値観を本書の原則にのっとっているかを
振返るのである。あるいはグルが振り返るように促すのである。本書は、人格の成長が目的なので100%達成できることはありえない。しかし、こうした行動
をとることによって、弟子たちに反省(自責ではなく)をさせることが出来るのである。つまり、グルと弟子の仲立ちをする聖典として機能しているのだ。
それによるメリットは何か?色々なものがあるだろう。一番のメリットは、人間性や人格、内面に踏み込んだ時の反発を抑えることができる。
また、不平不満も抑えることができる。なぜなら、不平不満、環境を責める人間は未熟である「君にはパラダイムシフトが必要だ」と諭すことができるのである。


 私がいた支店だけかもしれないが、非常に宗教チックであった。これもマネジメントと言えばマネジメントなのかな。私にはよくわからないが。
これに耐えうる人間は素直な人間だけだろうなと思う。事実、私の周囲はオール5の優等生で素直なタイプばかりだった。それに引き替え
私は「欲しいものは特にない」とよく言っていたので、目的意識を持たせるエサがなくて上司も苦労しただろうなと思ってしまう。

………だって、私はこの世で一番嫌いな言葉が「成功」なのだから。
ぶっちゃけ、できれば苦労しないというか、どこにこんな人間がいるのだ?というのが読後の正直な感想である。
本書で啓発される人間は、記述内容から完成図をイメージできているのだろうか。私としては、壮大な話よりもすぐできそうな
マナーやルールみたいなものから学びたい。