酸欠少女さユり 『ふうせん』リリックビデオ
歌詞を紙芝居形式で流している動画である。
ライブでも歌詞が流れるけど、求心力がある。
歌や演奏だけでなく、歌の物語の部分が際立つ。
ところで、この動画の面白いところは、物語の二重性である。
1つは歌の通り、紙芝居の中に出てくる女の子が自分を失う
物語だ。好きな相手に依存していく。
もう一つは、動画の最後の部分、さユりが紙芝居をぱたんと
閉じて去っていくところである。ここで依存の物語は過去のもの
で読み取れる。「でも、終わったの」という感じかな。
もちろん、私小説ではないので歌の世界が歌手の私生活や経験そ
のものではない。
しかし、立ち去る女の子(さユり)の姿から恋が終わった寂しさと
新しい出発の物語を読むことが出来る。いわば、歌の中にある過去
の物語とそれを観ている女の子(現在から)の出発の物語と二つがある。