伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

ファンタジー文学に挑戦する

夜の写本師

夜の写本師

ディアスと月の誓約 (ハヤカワ文庫JA)

ディアスと月の誓約 (ハヤカワ文庫JA)


今まで読んだことのない新ジャンル、ファンタジー文学に挑戦する。


小学生時代から「ロードス島戦記」などを読んでいたし、RPGも
好きだった。それゆえ、ファンタジー的な世界観は好きなはずであるが
読んだことはなかった。昔は、ライトノベルなどでもファンタジーは
あったけれど、最近は学園ものか職業もの日常系が多くなっている気がする。
つまり、ファンタジーは廃れたような印象があった。

『夜の写本師』の方は、本屋で見つけたのでなんとなく買ってみた。

魔法の体系や世界や国の設定なども練りこんである。もちろん、バトルもの
ではないので、アクションよりは人間ドラマが中心である。過去の話から
現在の話へとだんだんつながる様は魅かれる。

主人公は復讐のために生きる。最初は自分の経験による。しかし、そのうち
この復讐劇が何度も何度も繰り返されたものであることを知る。
こうした運命の輪に気付く、というところは私個人にもわかるところがあって
非常に引き込まれた。

また、終盤にかけて明らかになる敵側のエピソードも良い。

主人公サイドからは因縁の対決である。敵側から見ると激しく相手を求めていた
ことがわかる。愛憎が入り混じった強い気持ちである。

歌で言うとこの曲かな。

「赤い糸などどこにもなかった」というフレーズは敵側からみた主人公の魂への
思いであるように思える。



『ディアスと月の誓約』はちょっとアッサリしているかな。
ライトノベルとは異なるけれど、ジュブナイルノベルという感じがする。
いや、読みやすいし読了感もいいんだけどね。