「社会企業家 社会ビジネスの新潮流」
- 作者: 斎藤槙
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/07/21
- メディア: 新書
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【評価】 ★★★★
【紹介】
社会起業家についてと、それが誕生した背景について事例をあげて説明している。企業のようなNPOやNPOのような企業のどちらも社会起業家である。
企業のようなNPOが増えたことには3つの理由がある。企業のグローバル化、ステークホルダーの行動の変化、エンロン事件の影響の3つである。グローバル化により企業は果たすべき社会責任が増大した。また、様々なステークホルダーも企業に責任を要求するようになった。さらに、エンロン事件の影響により、エリート学生の意識に変化が生じたためである。
また、企業のようなNPOが増えた背景には、3つの理由がある。「小さな政府」の増加、資金調達の困難、ベンチャー・フィランソロピーの登場の3つである。つまり、社会保障費用の削減により、民間セクターによってサービスを行なおうとしたのである。しかし、従来のNPOの方法では、資金調達が困難であったためビジネス化を強めた。さらに、フィランソロピー(慈善)団体の寄付の変化である。従来は、NPOの直接のサービスに当てるために寄付を行なっていた。しかし、資金やスキルを「投資」する団体が出現したことである。
【引用】
「問題意識を持ちながら前向きに働いている組織人の存在を社会起業家と考えている」
【感想】
長らく積ん読状態だった本である。本棚見たらダブリ買いしてた。
事例が豊富だったので、社会起業家の概要は理解することができた。しかし、彼らを生み出す高等教育のあり方はどうなっているのか。また、登場の背景がアメリカ社会を元に論じられているので、日本を含む他の国の背景はどうなっているのか。などわからないことも多い。本書をきっかけに他の本も読みすすめたい。