伽藍の堂

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「君主論」

君主論 (中公クラシックス)

君主論 (中公クラシックス)

【評価】 ★★★★★

【紹介】
 
 政治学の古典である。全体で26章に分かれている。また、四部構成である。第一部は、国の分類である。第二部は、軍備についてである。第三部は、君主の資質についてである。第四部は、イタリアの現状についてである。

【引用】

「運命は女性に似て、つねに若者の友である。若者は思慮を欠いて、あらあらしく、いたって大胆に女を支配するものだ」

【感想】

 塩野七生惣領冬実チェーザレ破壊の創造者」で縁の深いマキャベリの代表作である。

 第一部や第二部はある程度の歴史的背景を知らないと少し難しいだろう。しかし、本書の醍醐味は第三章である。この章は現代においても十分に通用する。「恨みを受けず、恐れられなければならない」や「軽蔑されることと憎まれることをさけなければならない」など極めて現実的である。 
 とはいえ、現代の政治家に当てはめることも同様に難しいだろう。なぜならば、現代社会の問題は非常に複雑であり、政治家のリーダーシップつまり、個人の資質で解決するものではないからだ。しかし、人々の反応については現代人もなんら変わることが無い。人々の反応をみることに役立つのである。