伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

汝は人狼なりや?〜探偵はやってこない〜

 
 最近は、「汝は人狼なりや?」というゲームを好んでいる。元々、カードによるTRPGだ。TRPGは私よりも少し上の世代で流行っていたようだ。しかし、テレビゲームが全盛期になったことで廃れてしまった。が、ネットの普及によりオンラインセッションなどが可能になり再び行われるようになったらしい。とはいえ、私自身は参加したことはなく、ニコニコ動画による視聴が中心である。

 「汝は人狼なりや?」は簡単に言ってしまえば、村側と人狼に分かれて推理をするゲームである。村から一人の犠牲者が出る。その犯人は村人に化けた狼である。誰が犯人であるかを話し合い、犯人と思しき人物を一人処刑する。人狼側は夜になると一人の村人を食い殺す。人狼を全員処刑できれば村人の勝ち。村人よりも人狼側の人数が多くなれば人狼の勝ちである。人狼サイドも人間に化けているので推理劇に参加するのである。

 少し残酷な設定なので「うみねこのなく頃に」の登場人物を使った動画がある。設定や世界観が似ているからだ。「人狼のなく頃に」などと呼ばれいている。また、東方のキャラを使った動画などが作られている。

Doubt 1 (ガンガンコミックス)

Doubt 1 (ガンガンコミックス)

などの漫画もこのゲームを元にしている。

 私自身はこのゲームそのものよりも、このゲームを使った物語に興味がある。「人狼のなくころに」は家族同士で疑心暗鬼になる悲劇が非常にうまく描かれている。宇野常寛の言葉を借りて言えばまさにサヴァイブ系の物語なのである。事件を解決する探偵は登場せず、生き残るために推理しなければならない。敵は人間に化けた狼と、他人からの疑惑である。(探偵役として古戸ヱリカも登場するが、一気に事件解決とはならず彼女も推理をし続ける)つまり、誰もが当事者としてバトルロワイヤルに参加しなければならないのである。

似たような世界観を書き続ける作家としてが土橋真二郎がいる。

扉の外 (電撃文庫)

扉の外 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈2〉 (電撃文庫)

扉の外〈3〉 (電撃文庫)

扉の外〈3〉 (電撃文庫)

ツァラトゥストラへの階段 (電撃文庫)

ツァラトゥストラへの階段 (電撃文庫)

ツァラトゥストラへの階段〈2〉 (電撃文庫)

ツァラトゥストラへの階段〈2〉 (電撃文庫)

ツァラトゥストラへの階段〈3〉 (電撃文庫)

ツァラトゥストラへの階段〈3〉 (電撃文庫)

楽園島からの脱出 (電撃文庫)

楽園島からの脱出 (電撃文庫)

サヴァイブ的推理ゲームにおいては天才的な頭脳を持つホームズも、探偵の意図や行動を説明してくれるワトソンもいない。そして、犯人が崖の上で罪の告白をすることもない。不条理なゲームに巻き込まれた上での殺し合いなのである。