伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

「ハーバード・ケネディスクールでは何をどう教えているか」

1 交渉力を育てる
2 リーダーシップを育てる
3 マネジメント力を育てる
4 分析力を育てる
5 政策企画力を育てる

 ハーバード大学ケネディスクールにおける著者の留学体験記である。ケネディスクールとは日本で言うところの公共政策大学院である。著者曰く、7つの特徴がある。1、多種多様なバックグランドの学生が集まっていること 2、国際色が非常に豊かであること 3、リーダーシップを何よりも上位に置くこと 4、受動的でなく、学生と教授との立場が対等であること 5、実践型であること 6、教職員が誇りとやる気に満ちていること 7、愛と思いやりに溢れたカルチャーと、それを実現するための厳しさを持っていること 以上7つである。

 この本は、ケネディスクールにおける授業内容の紹介とその授業の担当教授へのインタビューで構成されている。目次の項目が目標であり、そのためのカリキュラムが組まれている。日本において、ハーバード大学と言えば、ロースクールやMBAなどが有名であるだろう。しかし、著者はMBAと比較して広い視野が求められるという。つまり、企業だけでなく、パブリックセクターや地域住民への影響など様々な人々を視野に入れて考えることが必要であるようだ。

 私のこの本への感想を一言で述べるならば「憧れる」である。専門職大学院と言えば、実践性や実務に役立つことを学ぶというイメージがある。私は日本における職業訓練のように「手に職をつける」というイメージを持っていた。しかし、全然違う。私自身が一番興味深いと思ったのは、ロナルド・ハイフェッツ教授のリーダーシップ論である。学生達には「集団カウンセリングか宗教のようだ」という評判であったらしい。


>>人の行動を暗黙のうちに支配する(Loyalty)と呼ぶ。そして、自分のloyaltyと他人のloyaltyを考えることで、初めてReal workの解決に向けた歩み寄りが可能なのである 本書p89