伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

「勉強法が変わる本 心理学からのアドバイス」

勉強法が変わる本―心理学からのアドバイス (岩波ジュニア新書)

勉強法が変わる本―心理学からのアドバイス (岩波ジュニア新書)

【評価】 ★★★★★


仕事用

【紹介】

 サブタイトルの通り、心理学の見地からよりより勉強方法を探るものである。本書は、五章に分かれている。学習観、記憶、理解、問題を解く、文章を書く、これらのテーマに分かれて論じられている。

【引用】

「手を動かしながら、頭を使う」

【感想】

 テストで点数を伸ばす方法というよりも「人間は物事をどう認識しているか」をテーマに学校の学習を論じている。
勉強法としてはありふれたものかもしれない。しかし、知識を構造化することや理解から記憶という手順を重要視するなど興味深い。

 漢字や英単語を覚えることに苦手意識を強くもつ子供がいる。一見すると「記憶力悪い、勉強が足りない」と思われがちである。しかし、実際は、前提となる知識が足りないことがわかる。そもそも発音や訓読みができない、品詞や文法がわからないことが多いのだ。
 
 文法も、苦手な生徒は文法用語の定義を理解していないことが多い。定義から具体例を説明し、それらをセットで覚えれば克服できる。

 などなど、本書の内容は仕事上で非常に有益である。また、普段意識していない認識のメカニズムがよくわかるので面白い(特にコラム)。残念なのは、岩波ジュニア新書なので大人が手に取りにくい点である。(ガツガツしたビジネスマン向けの勉強本とちがってクールに書かれているところは良い)

教える側の人間に薦めたい一冊。