伽藍の堂

読書の記録が中心です。たまに音楽や映画などの話も書きます。

『1Q84』上下巻 4月-6月

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉後編 (新潮文庫)

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉後編 (新潮文庫)

 
 久しぶりに楽しく読めた村上春樹の作品である。最初に断れば、私は熱心な村上春樹のファンではない。また、文学や文学批評には疎い人間である。したがって、ここには文学評論などではなく個人的な感想を記す。

 今までの作品と比べて大きな違いがある。例えば、登場人物の名前や出身大学、地名なども含めて日本の固有名詞がきちんと記されていることだ。また、一人称ではなく青豆と天吾の二人の視点からなる。なぜかはわからないがこれによってずいぶんと読みやすくなったように感じる。

 私自身がこの作品を読んで、なんとなくアニメの「輪るピングドラム」との類似性があると思った。決して、どちらかがパクリだなどと貶めてい入るわけではない。過激な宗教団体、いわゆるセクトとその周辺を登場人物にしているという設定が似ているのだ。

 また、青豆を冠葉、リトルピープルを渡瀬 眞悧とみることもできる。前者は復讐に生きるところであり、後者は呪いや破滅のメタファーとして捉えることもできる。とはいえ、まだ前半部分だけしか読んでいないので結論を出すことは早計である。したがって、後半を読んでからまた感想を書きたい。